解説<6>

サビはなぜ発生するのか?

屋根を新設してから10年以上メンテナンスを行わずに放置すると、塗装膜の防水性が低下し、屋根トタン素地まで水分が到達することでサビが発生します。


トタン出荷時に施されている工場焼付け塗装の耐久性が10年程で、塗替えシリコン塗装は平均して8年程の耐久性なので、その年数を目安に塗替えしていくと、屋根を良好な状態で維持できます。

メンテナンス期間を超えて放置期間が長くなるほど、サビの発生リスクが高くなります。

↓ 新築から10年経過 ↓ 新築から14年経過
全体的に艶がなく色も薄い

全体的に艶がなく色も薄い

塗膜がとても薄くなっている

塗膜がとても薄くなっている

部分的に塗膜が薄くなっている

部分的に塗膜が薄くなっている

ハゼの際等にサビが発生

ハゼの際等にサビが発生

少しだがサビの発生が見られる

少しだがサビの発生が見られる

トタン端部にサビが発生

トタン端部にサビが発生

こうした通常の経年劣化によるサビの他に、塗替え工事で下地処理を怠ったことが原因で早期にサビが発生するケースをご説明させて頂きます。

 

サビ処理を怠ったため発生したサビ
↑サビ除去処理を確実に行わずに塗装したことが原因で発生した重度のサビ
通常はここまでのサビは出ません
↑通常の劣化ではここまで深度のあるサビは発生しません

サビの表面は凹凸状で、脆く不安定な酸化鉄が浮き上がり空洞も発生します。そのようなサビの上から直接塗装しようとしても、酸化してボソボソになっている表層には塗料はしっかり付着しません。

サビの表面
↑サビの表面。中が空洞状の脆い凹凸が無数にあります
マクロ撮影
↑マクロ撮影。非常に細かい隙間が多数あります

このようにとても小さな凹凸や空洞・隙間には、粘度の高いドロドロした塗料が行き渡るのは難しく、粘度の低いサラサラした水は簡単に隅々まで行き渡り、サビが拡大していきます。サビを処理せずに塗装すると直ぐにサビが再発するのはこの為です。

また、中途半端なサビ処理の上に塗装した場合、不安定で脆い酸化鉄の形状がふとした時に崩れ、そこに出来た小さな隙間から水分が入り込み、塗装膜が蓋の役割をしてしまい、水分の蒸発・乾燥を阻害し、塗膜下では常にジュクジュクした状態が続き、この状態では驚くことに塗装前よりもサビの進行スピードが加速してしまいます。
最終的には屋根トタンに穴が開くほどの腐食が発生します。

トタンに穴が開いています
↑塗膜が蓋の役割をして、その下で急速にサビが進行した例
スポット的にサビが進行
↑サビの上に塗膜があるとスポット的にサビが深く進行し、トタンに穴を開けてしまいます

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