良質な安さの実現  

 

お客様が商品を買い物されるとき、その商品の値段は「高い」より「安い」に越したことはありませんが、「安い」商品というのは中身がどうなっているのか?が不安になり手を出しにくく、かといって「高い」商品が良いとも限りません。確かにしっかりした商品だが、値段が高すぎるということもあります。
そこでお客様が一番望まれているのは【値段以上の価値がある商品】ではないでしょうか?

買い物をされる時に、それを望んでいてもなかなかそのような商品やサービスを見つけ出すことは難しく、企画や理念といった言葉や文字だけで表現したものは容易に行うことができて、値段以上の価値があるものとは多くの労力と多種の犠牲を必要とすることから、企画や理念から実行に移すことがいかに難しい事なのかがうかがえます。

様々な企画

↑実証しなくてもよい企画は安易に掲げられる?

↑理念は濃いが中身が薄いこともあります

塗替え工事も、商品をお客様に選んで買って頂くということで上記の説明と同じではないかと考えています。

そこでお客様が塗替え工事という商品を選ばれるときに、大きく分けて3種類の会社があるということを、値段以上の価値がある、【良質な安さ】とは?というテーマのもとにご説明させて頂きます。

その1  ①ハウスメーカー、②建設会社、③工務店、④リフォーム店の塗替え工事

その1に挙げた4種類の会社が塗替え工事で実際に携わるのは、営業業務、施工管理業務、集金業務のみで、お客様から仕事を受注し、それを下請け会社あるいは協力会社に発注し、その工事を管理する業務を担います。

規模の大きな会社も多く、ネームバリューという世間での知名度が安心感につながり、企業体力が大きいので倒産リスクによる工事保証不履行等の心配が少なく済むのがメリットです。

↑大きな企業は、交通利便性の高い立地にあることも多く、その賃料も高くなりがちです

↑会社規模が大きくなると倒産リスクは下がります

会社規模が大きくなると信用が増す代わりに、実務作業に係わらない社員の人件費、経費が膨らみ、それが工事金額に上乗せされます。また、この4種類の会社はほとんどが塗替え工事以外のリフォーム工事全般を取り扱っています。例えば、塗装工がサッシ工事を施工するのは難しく、その逆も同様なことから様々な種類の職工を用意しなければならず、自社ですべての職工を用意できる企業は皆無と言って間違いありません

そのため、お客様からの受注工事を下請け = 協力会社に発注することになり、この4種の会社が必要な利益、必要経費を差し引いた金額で下請け会社に発注します。
そしてその工事を受注した下請け会社も元請けと同様に利益と経費が必要なので、実際の作業に使える工事金額がどんどん減ってしまい、さらに孫請け会社に発注するような場合は目も当てられない少ない工事費となります。

下請け会社への発注が必要

↑取扱商品が増えると必然的に下請け会社への発注が増えていきます

規模が大きくなると社員数も増えます

↑会社の規模拡大と社員数の増加は比例します

 

当然、下請け・孫請け会社には十分な工事金額が行き渡らず、正規の作業工法と比較して作業内容を簡素化し、作業人員・作業手間・材料を減らし利益確保に充当する手法が下請け・孫請けの経営維持方法になりがちです。

下請け・孫請け会社が経営維持のため行う作業簡素化はリスクのある内容のものも多く、そこから発生する欠陥・クレーム対策として、その元請け会社のグループに加入する際、契約金あるいはフランチャイズ加盟金という形で数百万というお金を下請けから元請け会社が預かり、工事の問題が発生したときに下請け会社が倒産したり逃亡等を企てた際、問題対策費として捻出出来るような仕組みを構築していることが多々あります。

苦しむ下請け会社は多い

↑元請け会社の中間マージンが高いと、下請け会社は作業簡素化で対応することが多くなります

もしものために

↑予め、一定の確率でトラブルが起きることを想定しているかのような取り決めが実在している!?

会社運営において、利益や経費がなくては運営出来ないことはご理解頂いているとは思いますが、お客様のお支払いした工事代金のうち半分以上が複数の会社の利益や経費として充てられ、お客様が1番お金を使って欲しかった作業費はほんの少し、というパターンも珍しくありません。

以上の経緯から、このパターンその1での塗替え工事という商品購入では、平均相場に近い見積り金額の場合、元請けの利益を取ると下請けは会社維持の為、簡素化した仕事をせざるを得ないのでその結果、工事が低品質になる確率が高くなります。
しかし、平均相場から30%~40%割高な工事金額の場合は、元請けにも下請けにも十分な利益が行き渡るので簡素化が発生しない平均的な品質の工事となる確率が高くなります。

グラフ1

※※すべての請負工事を否定している訳ではなく、大規模工事等ではとても有効的である業務体系を、小規模工事である住宅塗替え工事に持ち込んだ場合の問題性についての説明となっております※※

その2 自社受注からの自社施工    【詳細な作業内容の提示なし】

その1で解説した請負工事とは違い、こちらは自社で営業受注を行い、自社で施工するのでその会社の利益と経費しか掛からず、より多く実際の作業に工事金額を行き渡らせることが出来ます。

塗替え工事という商品は、工事で使用する塗料やその他の材料費は全体工事費の中で20%位と少なく、作業費(人件費)が50%位と多くを占めます。
他の工事を例にすると、エアコン取付工事等では材料費(エアコン本体)が50%以上で取り付け料金(人件費)は20%以下となります。

 

↑塗替え工事の材料費率は平均20%と低い

作業比率は高い

↑作業費は平均50%以上と比率が高い

エアコン取付け工事等の場合は、工事費の大部分を占めるエアコン本体費用は大手製造メーカーに決められるので、仕入れ値を多少調整することくらいしか出来なく、取付け作業においてもある程度の経験があれば、どの業者が取付けしても大体同じくらいの作業時間と取付け精度になります。

では塗装工事の材料費が低く作業費(人件費)の比率が高いということは、どういうことを意味するでしょうか?

塗料は塗料メーカーが指定した金額になり、仕入れ値も塗料問屋を通すので、塗料金額の仕入れ値等ではそれほど大きな差は出ませんが、作業費(人件費)では大きく内容を調整することが出来ます。

塗替え工事の見積書で【屋根シリコン塗装】という作業項目があったとします。
その屋根シリコン塗装に使用される塗料金額に大きな差はなくても、【作業内容=作業費】には大きな違いがあるかもしれないということです。
同じ屋根塗装にしても3人工で完了するシリコン塗装もあれば、6人工必要なシリコン塗装もあり、どちらも見積書の上では【屋根シリコン塗装】と表記されます。

全面手作業研磨は1.5人工以上必要

↑屋根塗装の全面研磨処理は1.5人工以上必要になり、同じ下地処理でも高圧水洗浄では0.3人工程度と約5倍近く作業費の差が発生します

塗装後はどちらもキレイです

↑塗装後はどちらもピカピカで違いが判りませんが、数年後に差が表れます

同じ【屋根シリコン塗装】と表記されても、その中身は利益・経費率が大きく違います。
工事1件当たり何%の利益・経費を出すのかが違うということです。
会社規模が大きくなくても管理職・営業職・事務職等の現場作業を伴わない社員が多いと経費が高くなり、代表の趣味や生活スタイルはその会社の利益を上昇させる大きな原因にもなります。

趣味は自由ですが・・

趣味は自由ですがその資金はどのような経緯で入手したものか?によります

生活スタイルを向上させるには多くの資金が必要になります

代表が現場作業を行わず、統括管理などをしている場合は代表者の収入が工事費に大きく上乗せされます。通常会社規模が大きくなると、経営上どうしても代表が管理業務や取引先との交渉に当たらざるを得ませんが、リフォーム工事の中でも小規模に分類される塗替え工事に、大きな会社規模が必要になることはほぼありません。現場作業に従事せず、直接的な労働価値を産出できない代表者がいるだけで、その会社に高い利益率が必要になる最大の原因となります。

高い利益が代表者の高収入に直結していることも少なくない

お客様が高い利益を払っている

お客様が工事代表者の高収入分として支払っているとも取れます

以上の経緯からこのパターンその2での塗替え工事という商品購入では、利益率を高める為の対価として、調整しやすい作業費を下げる必要があります。それを実現するために会社のホームページ(施工の証明となる更新頻度の高い工事記録等のブログ)や見積書の工事説明では敢えて詳細な内容は伝えず、大まかな内容のみ知らせることで作業内容を曖昧にすることが出来、結果、簡易的作業を行って作業費を下げることが容易となります。(はっきり作業内容を明示していないので、簡易的作業を行っても責任問題が発生しない)
ここで例に挙げた会社は会社規模はそれほど大きくないことから、社会的信用は低いのでネームバリューによる信用と安心感を得ることができず、中小・零細企業の資本力の低さから倒産リスクも高いので、その1の会社と比較して同程度かそれ以下の商品価値となり、工事品質は平均以下が多くなります。

※※すべての実働作業を行わない代表に問題があるわけではなく、ある程度の会社規模が必要な事業では実働ばかりしている代表は事業に深刻な影響を与えます。しかし、小規模工事である住宅塗替え工事に大きな会社特有の社内体制は必要なく、実働しようとしない代表の問題性の解説となります※※

その3 自社受注からの自社施工    【詳細な作業内容の提示あり】

 

その2と同様に自社で営業受注を行い自社で施工するので、請負工事のような中間マージン等は発生せず、必要利益・経費以外は作業費(人件費)に充てることが出来ます。

では、その2でも少し触れました【詳細な作業内容の提示】の有無についてを解説させて頂きます。

塗替え工事というものは作業費(人件費)が高い比率の工事になり、その作業費を下げるということは利益・経費比率を高めてしまうということは説明しました。
工事施主となるお客様の立場から見ると、捻出した工事金額をより多く材料費と作業費に使い工事価値を少しでも高めて欲しいと思うのは当然ですが、実際の塗替え工事では「その1」「その2」で説明した会社が多くなるのが現実です。

なぜそのような会社が多いのか?作業比率を高め利益・経費を下げた会社がどうして少ないのか?

その答えは

企画や理念といった言葉や文字だけで表現したものは容易に行うことができて世の中に溢れていますが、値段以上の価値があるものとは多くの労力と多種の犠牲を必要とすることから、企画や理念から実行に移すことが難しい

ということだと考えます。

塗替え工事は規模の小さい工事なので少人数で十分対応できるということから


・少数の社員(代表も含む)全員で実際の現場作業を行う
・小規模工事の為、それほど煩雑化しない工事管理は、代表・職長が現場作業と同時に行う
・見積り測量は、現場作業終了後か雨天に行うようにする(雨天は塗装作業が出来ないので)
・見積書の作成は、現場作業終了後、会社に帰ってから行う

代表や職長が見積り

代表や職長が作業終了後に見積りを行うことで、経費削減の他にも実際の作業経験を基にした正確な現状判断が出来ます

作業管理などは現場作業終了後

作業管理業務や見積作成は現場作業後に行うことで、専門の管理職を配置しないで済みます

これらを徹底することで現場作業と管理業務を兼業でき、経費を大幅に下げることが出来ます。
(労働基準法を遵守することが前提です)
さらに、利益率を大幅に上昇させる直接的な労働価値を産出できない代表者の問題も解決し、利益率の上昇も防ぐことが出来るのですが、、、実は上記の条件でも代表者の利益(収入)を高めることが出来てしまいます。

代表者も作業を行い、その現場作業によって上がってきた利益を全て代表者の収入にすることが出来る為です。
これでは利益上昇対策として何の意味もなく、それを防ぎ、値段以上の価値=【良質な安さの実現】には何が必要になるか?

作業費(人件費)の削減が出来ない高い作業費が必要となる作業、もちろんそれは費用対効果が高い作業でなければならず、妄信的な作業者の自己満足に浸るものであってはいけません。

人件費の削減ができない

人件費の削除ができない=高い作業費が必要になる作業ということです

費用対効果

その作業には費用対効果が高いという条件が必須であり、費用対効果の低いものは作業者の自己満足的作業となる傾向が強い

その費用対効果・作業費共に高い施工をお客様にわかりやすい形で提示すること。
高い作業費が発生するということで全体工事金額を底上げします!では本末転倒です。創意工夫を用いて、利益・経費率を下げ、その浮いた費用を作業費に充当させるということであり、それを【良質な安さの実現】と表記しています。

以上の説明から、その3に当てはまる会社の特徴として


・ホームページや見積書で、利益・経費率を軽減する現実的な施策を表記している
・ホームページや見積書で、作業費・費用対効果が共に高い作業の実践を表記している
・それらの内容をブログ等の施工記録として多数、投稿している
・以上の内容を実践した結果による、既存のお客様のリピート率の高さや、それに伴うご紹介事例が増えた実数の投稿をしている
※↑【良質な安さの実現】が行えるということは、値段以上に価値のある商品を提供できているということになるので、良い商品=リピートや紹介のお客様が増えるということです

上記の実践には多くの労力と、時間・肉体的な犠牲を払わないと実現不可能なことが多く、例えば塗替え工事における足場架設・解体作業は多くの塗装工が嫌がる作業です。
実際、足場架設作業は塗装工事と比較にならない程の重い肉体労働で、専門の足場架設工のほとんどは10~20代の若者が占めています。
40代以上になってくると肉体的にとても過酷な労働です。

自社での足場架設
↑足場架設作業は高い体力が必要になります

ですので、多くの塗装店は足場架設作業は外注し、中間マージンをその架設業者に支払いますが、そのマージン費用はお客様から受け取っている工事金額から支払われることになるので、少しでもお客様から見て無駄になってしまうような費用は削減することが【良質な安さの実現】に近づけることだと考えています。

利益・経費削減方法も、1日の肉体労働が終わった後、疲弊している所での実測測量や見積作成は、出来ることであれば専門の管理職や営業職に担当してもらい、社員を増やし、代表は統括した管理に従事する・・・という考えに傾向しやすくなりますが、それこそが利益・経費率の上昇を招き、その上昇した費用の穴埋め的行為として作業内容の簡素化が常習化し、会社価値を自ら貶めてしまう原因になっていくと考えています。

小さく信用度の低い会社をお客様に選んで頂く為には、多くの努力を惜しまず、値段以上の価値がある作業を提供することです。

「その1」「その2」と解説してきましたが、グリーンペイントは「その3」の会社を目指し、日々努力をしております!

 

※※上記は当方の主観であり、全ての工事に当てはまるものではありませんが、小規模工事である住宅塗替え工事においてはその傾向が強くなります※※

 

グラフ1グラフ2グラフ3

 

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